2006年国民健康・栄養調査で糖尿病と糖尿病予備軍は1870万人

藤崎 知文鹿児島生協病院
内科 糖尿病科

日本内科学会認定医
日本糖尿病学会専門医・指導医

藤崎 知文 (ふじさき ともふみ)


 

2006年国民健康・栄養調査で
糖尿病と糖尿病予備群は1870万人


2006年11月の調査で糖尿病の該当者と予備群の数が4年前から約250万人増加したことがわかりました。実に日本人全体の6.4人に1人という割合になります。今回は、放置していると重大な合併症を引き起こす怖い病気『糖尿病』について述べていきます。
糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は主として15歳以下の小児期に比較的急激に発症することが多いもので、2型糖尿病はいわゆる生活習慣病のひとつに数えられていて、40歳以降に発症することが多い病気です。2型糖尿病が日本では90%以上なので、今回は2型糖尿病を中心に説明していきます。

糖尿病とはどんな病気?

糖尿病とは、インスリンというホルモン(簡単に言うと血糖を下げる働きがある)の欠乏や作用不足によって慢性的に高血糖状態が続いている病気です。糖尿病になりやすい体質を持った人がかかりやすく(遺伝しやすい)、食べすぎ、飲みすぎ、運動不足、肥満、ストレスなどが誘因となって発症します。血糖が高い状況が長く続くとさまざまな合併症を起こします。特有なものとしては眼、腎臓、神経の合併症があります。さらに脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化症に基づく重大な病気を引き起こすこともあります。

糖尿病の症状は?

症状として、のどが渇く、おしっこが近い、足がつる、体重が減る、だるい、疲れやすい、おできが治りにくいなどがありますが、これらは血糖値がかなり高いときの症状で、少しくらい血糖が高いくらいでは全く症状はありません。ここが重要なところで、糖尿病の人はほとんど症状がないのです。したがって糖尿病は健診などで見つかることが多いのです。

診断はどうするか?

初期の糖尿病は症状がありませんので血糖検査によって診断します。

(1)空腹時血糖値が126mg/dl以上
(2)随時(いかなる時点でもという意味)血糖値が200mg/dl以上
(3)75gブドウ糖負荷試験で2時間血糖値が200mg/dl以上

このうちのいずれかを満たせば糖尿病です。またHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:1~2ヶ月間の血糖の状態を示す指標で5.8%未満が正常)が6.5%以上あれば糖尿病と診断されます。

糖尿病合併症とは?

 

血糖のコントロールの悪い状態が続くと眼底にある網膜の毛細血管がもろくなって出血を起こす病気です。後天性の失明原因の第一位です。

 

血糖コントロールが悪いと腎臓の血管が障害を受け、蛋白尿が出現します。その後むくみが生じ、最終的には尿毒症(腎不全)になります。昔は治療ができなかったのですが、今は透析治療が可能となっています。透析になる病気の第一位が糖尿病性腎症です。

 

全身の神経が鈍り、足先のしびれや痛み、たちくらみ、便秘・下痢などが起こります。糖尿病性合併症の中でも最も多く、早くから出てくる合併症です。

 

足の壊疽で切断することもあります。また、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞の危険性も高くなります。感染症にかかりやすく、歯周病や水虫を有する人も多く見られます。

治療は?

糖尿病の治療は合併症の発症・進行を防ぐために血糖コントロールをすることが大事です。食事療法、運動療法、薬物療法が重要な柱となります。

 

これはもっとも大切な治療です。ほとんどの患者さんは入院し、食事療法だけで血糖がよくなります。食品交換表などの利用がすすめられますが、なかなかむずかしい点もあります。簡単な食事療法としては余計なものを飲んだり食べたりしないということです。缶ジュース(お茶、麦茶などノンカロリー以外)、アルコールやお菓子を我慢するだけで血糖値はよくなります。また野菜を多く摂取するように心がけましょう。

 

運動の種類としては歩行が一番です。一日7000歩から10000歩を目指しましょう。膝、腰などの悪い人や心臓に病気のある人は主治医に相談してください。また、空腹時の運動は低血糖を誘発することがあるので、食後の運動がおすすめです。日常生活に運動を取り入れることも考えましょう。たとえば、通勤を自家用車から歩行や自転車に変更する、エレベーターを使わずに階段を利用するなどです。

 

ほとんどの人は食事療法と運動療法で血糖コントロールはよくなるのですが、よくならないときは薬物を使います。薬物には飲み薬とインスリンがあります。いずれを選択するかは患者さんの状態や合併症の進行具合などで決まりますので主治医の指示に従ってください。

最後に

糖尿病は放置しているとさまざまな合併症を併発して非常に怖い病気ですが、ある程度コントロール(HbA1c6.5%未満)できれば合併症も起こりにくくなります。先ほども述べましたが、適量の食事、適度な運動をすることなどでよくなる病気です。暴飲暴食、運動不足、喫煙などあまりよくない生活習慣を変えることが大切です。

 

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