目の老化とうまくつきあう方法

fukuyado_kouei総合病院鹿児島生協病院
眼科

日本眼科学会専門医

福宿 宏英 (ふくやど こうえい)


 

目の老化とうまくつきあう方法

はじめに


今これを読んでいるあなたが20代~30代なら、目の老化と言ってもぴーんと来ないでしょう。かくなる私もそうでした。40代になると先輩や同級の医師たちが「最近注射するときなど、どうも手元が見にくくなったよ。とほほ・・・。」と嘆き始めました。そうです、老眼(専門医学用語では老視という)です。当時私はまだ大丈夫だったので、「ははは!老化、老化!!みんななるんだよ。」と笑い飛ばしていました。平均的には老眼を自覚する45才を過ぎても、まだ何の症状もなく手術や診察ができていたので、「私だけは老眼にならずにすむのではないかしらん!」とルンルン気分。しかしそうは問屋が卸しません。年男間近になると赤ちゃんの涙穴がさすがに見にくくなりました。

眼が見えるしくみ

外からの光は角膜、水晶体、硝子体という透明な組織を通過して、眼底の網膜に映像を結びます(図1)。眼がよく見えるための条件は、

1.透明であるべき部分が透明であること
2.光を感じる網膜やその情報を伝える視神経が正常であること
3.角膜と水晶体によって、網膜にピントがよく合っていること

 

(図1)眼が見えるしくみ

menoroukaph4

老化や病気によってこれらの条件が悪くなると、見えにくくなります。1番の透明であるべき水晶体が濁るのが「白内障」であり、3番のピントが合う範囲が狭くなる状態が「老眼」です。

遠くも近くも見える仕組み

menoroukaph5遠くのテレビを見ていながら手元の新聞を見るとき、すぐピントを合わせることができる(できていた?)のは、「調節」という働きがあるからです。ピント調節は水晶体と毛様体筋で行われます。毛様体筋が縮むと水晶体が膨らんで強い凸レンズになり近くにピントが合います。毛様体筋がゆるむと水晶体が薄く伸びて弱い凸レンズになり遠くにピントが合います。水晶体の厚さが変わって、いろいろな距離にピントを合わせることができるのです(図2)。


 

老眼(老視)とは?

 

(図3)

menoroukaph3年齢とともにだんだん毛様体筋力が低下し、水晶体も弾力性を失って硬くなります。そのため調節力が低下して近くのものにピントを合わせにくくなってきます。これが「老眼」です。調節力の低下は、実は若いころから確実に始まっており、通常45才前後で眼前30cmくらいのものが見にくくなり、つい本を離して見るようになります。70才くらいまでにはほとんど調節力はなくなるといわれています。

 

老眼は防げるか?

遠くと近くを交互に見ることを瞬時に行うことによって、毛様体筋の筋力トレーニングはできるかもしれませんが、水晶体が硬くなることを防ぐ方法は今のところないため、残念ながら老眼を防いだり遅らせることはできません。

よく健康情報誌などに「○○で老眼が治った!」との記事がありますが、「老眼が治った=近くが見やすくなった」ということであり、これは近視になったためと思われます。白内障の初期にこのようなことがよくありますので、喜んでばかりはいられません。

老眼は遅かれ早かれ誰にでも起こるものです。見づらいのを我慢していても、目が疲れて肩こりや頭痛の原因になるだけです。気持ちを切り替えて眼鏡をつくることを勧めます。その際「老眼鏡」という言い方に抵抗のある方は、「近用眼鏡」とか「シニアグラス」とか呼ぶといいでしょう。

もう一つの水晶体の老化 = 白内障

老眼は水晶体が弾力性を失うことですが、もう一つの水晶体の老化は透明性を失うことです。若い頃はダイアモンドのように透明だったものが、年齢とともにトパーズのような琥珀色に黄ばんだり、すりガラスのようなくもりが生じてきます。これが有名な病気「白内障」です。

80才までには多かれ少なかれ誰でも白内障になります。眼鏡を使っても不自由になれば手術で濁った水晶体を除去し、代わりに人工的な眼内レンズを移植して視力を回復できます。

白内障の予防

そうは言ってもやはり手術は受けたくないものです。では、できるだけ進行しないようにするにはどうしたら良いでしょうか。白内障の危険因子についてはかなり研究が行われていて、喫煙、紫外線はよくないようです。今のところビタミンCやE、ベータカロチンが予防に役立つというはっきりした証拠はありません。

40歳になったら眼科検診を

老眼や白内障は程度の差こそあれ、誰でも避けられないものです。しかし、「緑内障」など早期発見が役立つ病気もあるため、見にくいことを老化と思い込まずに、検診を受けてみることも大切です。
当院眼科へお気軽にご相談ください。

 

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