大腸内視鏡検査の実際

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奄美中央病院
内科 消化器科

日本内科学会
日本消化器病学会
日本肝臓学会

黒葛原 真一 (つづらはら しんいち)


 

大腸内視鏡検査の実際

近年職場検診や人間ドックに上部消化管内視鏡検査 (以下胃カメラ)が取り入れられるようになったため、多くの方が胃カメラを定期的に受けるようになり、胃カメラを一度も受けたことがないという方が減ってきました。下部消化管内視鏡検査(以下大腸カメラ)を受けたことがある方もだいぶ増えてきましたが、検査の準備が必要だったり、苦しい検査と思われていたりと、胃カメラに比べてまだまだ受けたことがない方が多いのではないかと思います。
医療生協では早くから大腸癌の早期発見に力をいれ、「医療生協だより」でもこれまで数回大腸癌のことや便潜血検査の重要性について紹介してきました。
しかし、大腸カメラを受けるにあたり、不安が多くて検査を受けることを躊躇している方も多くいらっしゃると聞いています。
ここでは大腸カメラの実際についてご紹介することにしました。よって、便潜血検査や大腸透視(バリウム検査)のことも、大腸癌のことも触れずに、具体的に皆さんが不安に思っていらっしゃるのではないかと思う点についてなるべくわかりやすくお伝えします。尚、今回お話しする大腸カメラとは、全大腸内視鏡検査という大腸の全体を観察する検査のことです。当日病院にきてから、浣腸だけの準備でする肛門の近くを見るS状結腸内視鏡検査と異なります。また実際の方法は現在鹿児島生協病院で行われているやり方です。

①痛いんじゃないの?

大腸カメラの痛みは個人差が大きいものです。現在の挿入方法では大腸の一部が一時的にたわむため、たわみの程度に応じて痛みが生じます。たわみをなるべく作らないように、体の向きを変えたり、看護師が手でおなかを圧迫したりします。以前手術をしたことがあり、おなかに傷のあとがある方は、おなかの壁と腸がくっついて(癒着といいます)痛みが強くなる傾向があります。程度が強い場合は痛み止めを使う場合があります。

②胃カメラみたいに眠っている間にできないの?

胃カメラも苦しい検査の代表選手ですが、その中心は喉を通る時の反射(「おえっ」)と喉の違和感・おなかの膨満感です。そしてこれらは眠たくなる薬(鎮静剤)で和らげることができ、患者さんによっては検査をしたことも覚えていないくらいです。

一方大腸カメラの苦痛は前述の通り痛みです。鎮静剤を使うことによって、痛みを感じることができずに腸に過度の負担がかかってしまい、極めて稀ですが腸が破れてしまうことがあります。そのため、原則的には鎮静剤は使わずに検査をします。

③先生や看護師さんの前でお尻を出すのはねぇ。

残念ながら、肛門からカメラを入れるしか方法がありませんので、避けて通れない問題です。「恥ずかしい」と思っていらっしゃる方がほとんどだと思いますが、実際検査中には、「すみません」「気の毒です」と言われる方が大変多いです。
私たちは前日から大変な準備をされて、苦痛があるかもしれない検査を受ける決断をされた患者様に対して、真摯な態度で検査に臨むことを心がけています。

④前の人の病気がうつるんじゃないの?

現在わかっている全てのウイルス・菌を死滅させるための消毒薬と洗浄・消毒の手順がきちんと決まっています。鹿児島生協病院ではそのための専用の洗浄器も使用しています。

⑤バリウム検査(注腸透視)じゃダメなの?

カメラの検査にもバリウムの検査にも長所と短所がありますが、バリウム検査では小さな平べったい癌がわかりにくいため、カメラの検査をお勧めすることが多くなってきました。前述の通り、癒着のために痛みが激しい方などはバリウム検査の方が安全な場合があります。

⑥準備が大変でめんどくさい!

前日に検査食(病院の売店で購入してもらいます)を食べて、夕方下剤を飲みます。当日は午前中3時間かけて2Lの下剤を飲んで数回排便していただきます。胃カメラに比べて準備は長く大変です。しかし、便のあるところをきれいに観察して病気を見逃さないためには現段階ではこの方法が最良とされています。

さて、皆さんの不安や疑問は少しでも解消されましたか?便潜血検査が陽性だった方、血縁に大腸癌の患者様がいらっしゃる方は是非一度大腸カメラを受けましょう。

 

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